2022/7/5~7/30
IG Photo Gallery企画展
ヴィクター・シラ展「Pictures of Nothing: Bookworks and Photographs」
IG Photo Galleryでは2022年7月5日(火)よりヴィクター・シラ展「Pictures of Nothing: Bookworks and Photographs」を開催いたします。
写真がフィルムからデジタルへ、プリントの焼き増しからSNSでのシェアへ。
技術の発展にともなって、写真は多くの人にとって身近なものになってきました。かつて写真家はまだ見ぬイメージを求めて世界中を旅しましたが、いまでは現地の人々が撮影した写真がリアルタイムでシェアされています。
ではネットを漂う写真と「写真作品」との違いはどこにあるのでしょうか?
ヴィクター・シラのダミーブックはその答えの1つだと言えるでしょう。ダミーブックとは写真家自身の手で編集、デザインされた写真集のこと。1冊だけ、もしくは限られた部数のみがつくられ、アート作品として発表されます。
本というかたちになることで、1枚1枚単独の存在だった写真が互いに響き合い、文脈を持った「作品」になるのです。シラはこの方法の先駆者であり、この分野をリードしてきたアーティストです。
ヴィクター・シラはベネズエラ出身。ニューヨークを拠点に活動し、グッゲンハイム財団フェローシップやニューヨーク芸術財団フェローシップなど、数多くのフェローシップを受賞しています。国際写真センター(ICP)で写真を学び、ICP-Bard MFA Advanced Photographic Studies Programで写真集づくりを教える講座「The Book」を立ち上げました。また、アーティストのセルフ・パブリッシングを含めた写真集やアートブックを取り扱う独立系オンラインブックストアBookdummypress(bdp)の共同設立者であり、印刷物に特化した展示やワークショップを行うdieFirma Print Room(PR)の共同設立者でもあります。
IG Photo Galleryでこのたび展示する「Pictures of Nothing: Bookworks and Photographs」は、シラにとって日本での初個展となります。展示のテーマはプリント・オン・デマンド(Print-on-demand)。プリント・オン・デマンドとは日本でもポピュラーになっている簡易なプリントサービスのことで、シラはこの日常化したサービスをあえて使い、作品を制作しました。今回の展覧会では2009年から2022年にかけて制作したプリント・オン・デマンドによる本のほか、新たにリソグラフで制作した本を展示します。
シラはこの展示についてこのように述べています。
「パソコンを開けば、ありとあらゆるものの、ありとあらゆる場面の写真を手に入れることができる。これらの写真のおかげで、いつでも手早く、そして自分の好きなように本を作ることができる。(中略)過去の作品を編集しなおしたものもあれば、全く新しい内容のものもある。こういう創作は、遊び心があるし、上品になりすぎないところがいい。もっとも大事なのはアイデアであり、そのアイデアを仲間のアーティストたちと共有できることなのだ」(ステートメントより)
展示ではプリント・オン・デマンドによる本を実際に手に取って見てもらえるようにするほか、壁には本に使われている写真・画像のプリントを展示する予定です。なお、これらのプリントもまたプリント・オン・デマンドを利用しています。
写真がどのようにして「作品」にメタモロフォーゼするのか。写真を読み込むためのヒントをどのように添えるのか。シラの作品を通して写真を「見る」ことのみならず「読む」ことのスリルを味わっていただければ幸いです。
なお、展示期間中にオンライントークセッション、対面による少人数のダミーブック制作ワークショップを行います。ほかに連動企画として、リコーフォトアカデミーでのオンライン講座(ヴィクター・シラ、金村修、小松浩子)を予定しています。
** 安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。
■作家プロフィール
ヴィクター・シラ Victor Sira
ベネズエラ出身、ニューヨークを拠点に活動する写真家。グッゲンハイム財団フェローシップやニューヨーク芸術財団フェローシップなど、数多くのフェローシップを受賞している。国際写真センター(ICP、ニューヨーク)の展覧会「Photography Book Dummies」(2008)のキュレーションを担当。彼の作品は、「Rencontres d'Arles 2005」や「De l'Europe in Luxemburg 2007」などの個展やグループ展で紹介されている。国際写真センターの大学院にあたるICP-Bard MFA Advanced Photographic Studies Programの教授として、「The Book」の講義を立ち上げる。Bookdummypress(bdp)の共同設立者であり、dieFirma Print Room (PR)の共同設立者でもある。
■会期
2022年7月5日(火)~7月30日(土)
時間:11:00~19:00
休廊:日曜日・月曜日・祝日
■トークセッション(無観客)
7月9日(土)19:00~
ヴィクター・シラ×タカザワケンジ
You Tubeにて、配信いたします。
チャンネル名:IG Photo Gallery
■リコーフォトアカデミー公開講座(オンライン)
「写真の力を引き出すダミーブックの世界」
7月6日(水)19:30~21:00
登壇者:ヴィクター・シラ、金村修、小松浩子、川崎詩織(通訳)
企画・モデレーター:タカザワケンジ(写真評論家、IG Photo Galleryディレクター)
■ワークショップ(対面)
【定員に達しましたので、締め切らせていただきました。】
講師:ヴィクター・シラ
通訳:川崎詩織
日時:7月8日(金)19:00~22:00
場所:The White(東京都千代田区神田猿楽町2丁目2-1澤田ビル2階)
IG Photo Galleryではありませんので、ご注意ください。
参加費:6,000円(当日お支払いください。)
最大12名(先着順)
ワークショップの概要
ヴィクター・シラによるダミーブックづくりワークショップ。
レクチャーのほか、参加者が持参したダミーブック(自作の写真集)の講評を行います。
ご用意いただくもの:
・参加者の方がつくられたダミーブック(手づくりの写真集)、ZINEなど写真をつかった本や冊子
・ダミーブックをつくったことがない方は、L判または2L判程度のサイズの写真プリントをご用意ください。点数はとくに決まっていませんが、40点ほどを目安にしてください。
1)レクチャー
どのようにダミーブックをつくるかのプロセスを紹介します。
2)講評
参加者の方のダミーブック、ZINEなどの講評。また、これからつくって見たい方に、写真を拝見してのアドバイスをお伝えします。