海原力展「BUS」

　IG Photo Galleryでは2023年最初の展覧会として、1月10日（火）より海原力展「BUS」を開催いたします。
　海原力は日本とアメリカを中心に活動する写真家です。IG Photo Galleryでは今回が2回目の個展となります。今回の「BUS」は、前回発表した「WHISPERING HOPE」（2019）と同一線上にある作品ですが、展示方法を大きく変え、2011年から2022年の間に撮影した未発表や新しい作品を加えた展覧会となります。
　海原は2011年よりアメリカを縦横無尽に走る長距離バス（グレイハウンドバス）を利用し、地図を塗りつぶすように旅を続けてきました。アメリカでは長距離鉄道が発達せず、バス路線が発達しました。しかし空港が整備されたことで、現在では長距離移動の手段は飛行機が主流になっています。バスはそれぞれの理由で飛行機を選ばなかった人たちの移動手段になっており、アメリカという国の多様性が垣間見える交通機関になっています。
　海原は、2017年には、バスの窓から撮影した写真、乗客のポートレート、バス停やターミナルの写真、テキストをまとめた写真集『WHISPERING HOPE』を出版し、マドリードで開かれた国際写真祭「フォト・エスパーニャ」の「THE BEST PHOTOGRAPHY BOOK OF THE YEAR」の私家版カテゴリーでSpecial Mention（特別賞）を与えられ、アレック・ソスによって同年のベスト写真集にも選ばれております。2019年にはIG Photo Galleryで同名展を開催。
　「WHISPERING HOPE」展ではプリントを展示しましたが、今回の「BUS」ではスライドショー形式でギャラリーの壁面に作品を投影します。
　被写体は窓を通した風景や、一瞥した光景、すれ違う人々であり、観客にバスで旅する視覚的体験を提供します。展覧会場はバスの車内に変わり、観客はフレーミングされた世界を手がかりに、その外を想像することになるでしょう。世界をリードしてきた大国を路上から見たとき、そこに何が見えるのか。ぜひ、展示会場で体験してください。
　なお、展覧会開催にあたり、作家とギャラリー・ディレクターの対談をオンラインで行います。そちらもぜひご視聴ください。

■作家プロフィール
海原力　Umihara Chikara
1974年東京都生まれ。早稲田大学第一文学部卒業後、渡米。国際写真センター（ニューヨーク）で学んだ後、ハートフォード大学（コネチカット）で写真を専攻。MFA（美術修士号）を取得。2018年、マドリードの国際写真祭「フォト・エスパーニャ」の「THE BEST PHOTOGRAPHY BOOK OF THE YEAR」で、初の写真集『WHISPERING HOPE』が私家版カテゴリーのspecial mention（特別賞）を獲得。個展に「 WHISPERING HOPE」（IG Photo Gallery,2019）ほか。

■会期
2023年1月10日（火）～28日（土）
時間：11:00～19:00（最終日は18:00まで）
休廊：日曜日・月曜日・祝日

■トークセッション(無観客）
1月14日（土）18:00～
海原力×タカザワケンジ（写真評論家、IG Photo Galleryディレクター）
チャンネル名：IG Photo Gallery