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2018/5/15~6/2
IG Photo Gallery 企画展

タカザワケンジ展

「非写真家 non-photographer」

 タカザワケンジは写真評論家、ライターとして活動するかたわら、写真について考えるための方法として、写真展を開いてきました。
 今回展示する「非写真家 non-photographer」はこれまで展示してきた作品に新作を加え、再構成したものです。2018年2月に名古屋のRAINROOTS、MUNOの2カ所で開かれた展示の東京巡回展となります。なお、巡回にあたっては名古屋の展示を新たに撮影・再構築した展示です。
 写真家にとって作品を発表する
法の一つとして写真展は一般的なものになっています。近年、その手法はますます多様化し、1点1点をじっくり見せる額装から、モノとしての写真を前面に押し出すインスタレーションまで、さまざまな方法が試みられてます。
 今回の展示では写真家たちの試みを踏まえ、空間で写真を見せるとはどういうことかを見る者に問いかけます。
 タイトルの「非写真家 non-photographer」とは、タカザワは写真家ではなく評論家であるという理由からであり、写真家以外の写真展の可能性を探るという意味を込めています。写真を撮る喜びや興奮、上手いか下手かといった価値基準からいったん離れ、写真について考えるという立場で構成した写真展です。
 評論家という立場から「作品」をどのように見せるのか。ぜひ、ご高覧下さい。

■ギャラリートーク
6月2日(土)16:00~17;00
タカザワケンジ「分解と再構成」」
予約不要、入場無料ですが、先着約25名。立ち見になる場合もありますので、ご了承ください。
※トーク終了後、お時間のある方は展示の解体と撤収にご参加ください。

■展示作品について
「CARDBOARD CITY」(2015)
 とある国でガイドという名の監視員がついた3泊4日のツアーに参加したタカザワは、自由に撮影が許されていたバスの窓から写真を撮りました。帰国後、その写真を見直し、個人的な記録を「作品」として構成できるかを試みたシリーズ

「Kanemura's People」(2016)
 「Osamu Kanemura's New Work?」として発表した作品の改題・再構成。写真家・金村修の展示作品の細部を「見る」ことの代用としてスナップ撮影したシリーズ。金村作品の部分的な複写は、金村の作品なのか、複写したタカザワの作品なのかを問う。

「偶然の写真史」(2017)
 写真集を複写する過程で生まれたエラー写真をもとに写真史を構成する試み。撮影者の手が入った写真集の複写は、「誰の」写真なのだろうか。そして、写真史上に残る名作と偶然写り込んだイメージとの間に格差はあるのだろうか。金村修との共著『挑発する写真史』(平凡社)刊行に合わせて行った展覧会「写真史(仮)」(東京、大阪で開催)で発表された。

「未視の街 Unseen city」(2018)
 移動する列車のなかから一度も窓外を見ることなしに撮影したシリーズ。渡辺兼人の第7回木村伊兵衛写真賞受賞作『既視の街』(2015、AG+ギャラリー、東京綜合写真専門学校出版局)の新版を構成し、解説を寄稿した折に考えた「既視」と「未視」についての思索を広げるための試作。

■作家プロフィール
タカザワケンジ
 1968年前橋市生まれ。早稲田大学第一文学部卒。写真評論、写真家インタビューを雑誌に寄稿。写真集の編集、写真についての展示など、写真のアウトプットに対する実践も行っている。構成・解説を寄稿した写真集に渡辺兼人『既視の街』(AG+ Gallery、東京綜合写真専門学校出版局)、石田省三郎『Radiation Buscape』(IG Photo Gallery)ほか。著書に『挑発する写真史』(金村修との共著、平凡社)。ヴァル・ウィリアムズ著『Study of PHOTO 名作が生まれるとき』(ビー・エヌ・エヌ新社)日本版監修。東京造形大学、東京綜合写真専門学校、東京ビジュアルアーツで非常勤講師を務めるほかカロタイプで少人数のゼミを主宰。IG Photo Galleryディレクター。

個展
「非写真家 non-photographer」(MUNO、RAINROOTS、paperback、名古屋、2018)
「Osamu Kanemura's New Work? 」(The White、東京 2016)
「CARDBOARD CITY」(The White、東京 2015)
「Road and River」(アガジベベー、東京 2007)

グループ展
「写真史(仮)」(金村修との二人展、176ギャラリー、大阪、2017)
「写真史(仮)」(金村修との二人展、The White、東京、2017)
「写真の地層」展 Vol. 8(VIII)(世田谷美術館区民ギャラリーB、東京、2007)
「写真の地層」展VI(世田谷美術館区民ギャラリーB、東京、2005)

著書
『偶然の写真史』(Triplet、2017)
『挑発する写真史』(金村修との共著、平凡社、2017)
『Kanemura's people』(Triplet、2016)
『窓とパンプス』(Triplet、2015)

■会期
2018年5月15日(火)~6月2日(土)
時間:12:00~20:00(最終日は17:00まで)
休廊:日曜日・月曜日

■トークセッション
5月19日(土)16:30~
広瀬勉(写真家)×タカザワケンジ 「伝説の展示《徳山君の部屋》とは何だったのか?」
予約不要、入場無料ですが、先着約25名。立ち見になる場合もありますので、ご了承ください。

 《徳山君の部屋》(「展示景」シリーズより)とは、とあるアパートの1室の壁、床、天井をすべて複写し、そのアパートに展示した広瀬勉の作品。いまでは伝説となっているその展示からちょうど30年を迎える今年、当時の記録を見ながら、写真と空間について考えます。

広瀬勉
 1965年、名古屋市守山区に生まれる。1984年愛知県立中村高校卒。翌年、美学校・考現学工房で赤瀬川原平に学ぶ。森山大道のワークショップ(フォトセッション‘86)に参加。1989年、早稲田大学第一文学部を卒業、本格的な作家活動に入る。個展、グループ展など多数。2012年、清須市はるひ美術館で個展開催。2011年より東京・高円寺に『バー鳥渡』を開店。月2回の掛け替えで写真展を開催している。写真集に『塀帳』(トムズボックス)がある。

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