IG Photo Gallery 企画展
牧野友子展
「なにが良かったのかなんて、にんげん終わってみないとわからないものよ」
IG Phto Galleryでは2019年10月15日(火)より牧野友子写真展「なにが良かったのかなんて、にんげん終わってみないとわからないものよ」を開催いたします。
IG Phto Galleryは2018年春に活動をスタートし1周年を迎えたのを期に、新人写真家の発掘を目的とした個展を企画いたしました。オーナーの石田省三郎が写真を学んだ京都造形芸術大学通信教育部美術科写真コースの卒業生の作品から、牧野友子の作品「なにが良かったのかなんて、にんげん終わってみないとわからないものよ」を選び、展覧会を開く運びになりました。
牧野は宮崎県出身。宮崎で生活しながら通信教育部・写真コースで写真を学び、この春卒業しました。「なにが良かったのかなんて、にんげん終わってみないとわからないものよ」は卒業制作としてつくられたものです。
東京で働いていた牧野は父の病気をきっかけに帰郷しますが、8カ月後に父が亡くなります。その後、写真を学び始めた牧野は、父の遺品を使った作品を構想しました。
カラフルなバックペーパーの前に置かれたモノたちは、一見してそれが遺品だとは思えないようなオブジェに変身しています。それらは父が愛用したモノたちになにかを加えることによって、新たな意味を引き出そうとする試みに見えます。あるいは、父の記憶を宿したモノたちと戯れることで、生前の父が娘に見せなかった別の姿を探しているようにも感じられます。
人の死は宗教、文化、社会によって、さまざまなかたちで弔われています。価値観が多様化したとされる現代においても、その弔い方はコミュニティのしきたりによって、しばしば型どおりなものになりがちです。そして、その枠を越えることに対して「不謹慎」という言葉が浴びせられることもしばしばです。
しかし、残された人々が、死者を弔うとはどのようなことなのか、答えは一つでしょうか。
牧野の作品は遺品という役柄を割り当てられたモノたちが、作者によって解放されていく姿を描いたものだとも言えるでしょう。解釈は鑑賞者に委ねられており、さまざまな感情を呼び起こすことになるはずです。
初日の10月15日(火)には、牧野友子とタカザワケンジ(写真評論家、IG Photo Galleryディレクター)によるトークショー(入場無料)が行われます。