IG Photo Gallery |久保田智樹展「ASHIO」  


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2022/10/11~10/29
IG Photo Gallery企画展

久保田智樹展「ASHIO」

  IG Photo Galleryでは2022年10月11日(火)より久保田智樹展「ASHIO」を開催いたします。
 タイトルの「ASHIO」は、久保田の故郷である栃木県の足尾から採っています。
 かつて足尾銅山があったこの土地は、日本の近代化に多大な貢献をしました。同時に鉱毒事件でも知られ、公害の原点としても記憶されています。光と影、両面から日本の近代化を語るうえで欠かせない場所だといえるでしょう。
 久保田智樹は、これまで足尾がどのように写真で表現されてきたかをリサーチしながら、同時に撮影を続けてきました。
 作品に写っているのは、時代から取り残され、時が止まったような光景です。その地で暮らす老人と子供、生きものや自然。彼らの暮らしとその環境です。
 都市部に住む人の多くは地方出身者か、二代も遡れば地方にルーツを持つ人がほとんどです。「ASHIO」は、盆暮れには帰省する、あるいはかつて帰省していた、そんな記憶を呼び起こす写真でもあります。
 しかし、都市近郊が開発される一方で、地方の人口が減り、限界集落が増えているという現実があります。ここに写っている光景は、右肩下がりを続けるこの国の実情を反映しているともいえるでしょう。
 久保田はこの作品で、自身が生まれ育った個人的な世界と、足尾という土地が背負った歴史、そしてこの国のこれからを重ね合わせようとしています。

 久保田自身は「ASHIO」について、こうステートメントに書いています。

「熱狂はやがて冷め、豊富な資源はいつか枯渇する。過密は過疎に変わり、開かれた地は植物に覆われる。生きているものが必ず死ぬように変わらないものなどこの世に存在しない。
 私にとって足尾は無常の象徴であり、この国の行く末を暗示する場所である。」

 久保田がこの作品で試みているのは、公的な歴史と私的な時間、大きな流れと小さな流れの二つを視野に入れ、写真のなかに織り込むことです。土地の「現在」を記録することであると同時に、その土地に刻み込まれた歴史を読み直し、未来へと伝えようとすることなのです。
 10月15日(土)に予定しているトークセッションでは、久保田がコレクションしてきた足尾に関する写真集などの資料をもとに、作品を「読む」ためのヒントを示す予定です。
 展示とともにぜひ、ご期待ください。

タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)

** 安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。

■作家プロフィール
久保田智樹 Tomoki Kubota
1967年栃木県上都賀郡足尾町(現・日光市)生まれ。1991年、埼玉大学工学部卒。写真表現中村教室、タカザワケンジゼミ(カロタイプ)で写真を学ぶ。個展は今回が初となる。

■会期
2022年10月11日(火)~29日(土)
時間:11:00~19:00(最終日は18:00まで)
休廊:日曜日・月曜日・祝日

■トークセッション(無観客)
10月15日(土)19:00~
久保田智樹×タカザワケンジ(写真評論家、IG Photo Galleryディレクター)
チャンネル名:IG Photo Gallery


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