IG Photo Gallery企画展
勝又公仁彦展「WAR REQUIEM II」
IG Photo Galleryでは2025年12月2日(火)より、勝又公仁彦展「WAR REQUIEM II」を開催いたします。2018年のギャラリーのオープン記念展「Skyline」、2020年の「わたくしのいもうと My youngest sister」に続く3度目の個展となります。
勝又はこれまで写真、映像、インスタレーションなど多角的な方法で作品を発表してきました。今年7月から8月にかけてKOKI ARTS(東京)で発表した「WAR REQUIEM」はその中から「戦争」をテーマに3つの独立したシリーズを統合したもので、本展は同じテーマをさらに発展させた第二弾となります。
昭和100年、終戦から80年という大きな節目である2025年のしめくくりにふさわしい展覧会です。
3つのシリーズは以下のような内容です。
「硫黄島へ (to IwoJima)」:
硫黄島は太平洋戦争末期の激戦地として知られています。戦後も戦争前に住んでいた島民が島に帰ることはかなわず、亡くなった兵士たちの遺骨の多くもいまだ回収されてはいません。勝又は親戚が硫黄島の戦いで戦死したことから2000年に取材を開始し、2005年、戦後60年のタイミングで一度この作品を発表していますが、今回は新たな作品を加えて再構成しました。
「Remains」:
勝又が「硫黄島へ (to IwoJima)」を発表した2005年の8月6日と9日に、広島および長崎の被爆地域で撮影された被爆樹の作品です。
1945年8月6日に広島に、同月9日に長崎に落とされた原子爆弾。その記憶をどのようなかたちで伝えていくかは私たちの大きな課題であり、数多くの写真作品がつくられてきました。勝又は被爆地域に立つ木々に目を向け、木々がすごしてきた時間の長さを想像させます。
「FG」:
「FG」は「Fall Guys(身代わり、スケープゴート)」を意味し、戦後に戦争責任を問われたABC級戦犯を主題とした作品です。戦争の責任を負った人々の人生と、彼らに対する戦後社会の視線を検討することで、戦後日本の複雑な状況を浮かび上がらせます。
これら3つのシリーズは、それぞれ異なる視点から戦争に焦点を当てています。兵士が戦った戦場のその後(「硫黄島へ (to IwoJima)」)、戦争で行使された圧倒的な暴力を生き延び、再生した植物(「Remains」)、戦争を推進する立場にあった者たちと戦後の日本社会(「FG」)です。
戦争を論じる視点はしばしば被害者、加害者に偏りがちですが、勝又は芸術の文脈の中に戦争を置くことで、多角的な視点を提供します。勝又の作品を入口に戦争とは何かを考えて頂ければ幸いです。
なお、オンラインでのトークセッションも予定されています。
■作家プロフィール
勝又公仁彦(かつまた・くにひこ)
静岡県出身。早稲田大学法学部卒業、インターメディウム研究所修了。多様な被写体のもとで「時間」「光」「場所」「空間」「認知」などをサブテーマに、常に写真の構造に触れる作品を展開。日常の中に現象しながらも知覚されることの無かった世界を掬い取ることで、観る者を新たな認識へと誘うとともに、歴史・社会・文明への批評的な暗喩を込めた作品制作を続けている。主な展覧会に「サイト―場所と光景:写真の現在 2」(東京国立近代美術館、2002年)「Natura Morta 」(Leica gallery Solms、2006年)「Dwelling」(世田谷美術館主催、2008年)「都市の無意識」(東京国立近代美術館、2013年)「あいちトリエンナーレ2016」(岡崎康生会場、「トランスディメンション ─イメージの未来形」、愛知、2016年)「写真都市展 ウィリアム・クラインと22世紀を生きる写真家たち」(21_21 DESIGN SIGHT、2018年)など。主な受賞に、「さがみはら写真新人奨励賞」(2001年)、「日本写真協会新人賞」(2005年)。東京国立近代美術館、世田谷美術館、沖縄県立博物館・美術館など国内外の主要なコレクションに作品が収蔵されている。京都芸術大学教授。多摩美術大学非常勤講師。
2025年12月に赤々舎より写真集『Remains』を刊行予定。
■会期
2025年12月2日(火)~20日(土)
時間:11:00~18:30
休廊:日曜日・月曜日・祝日
入場無料
** 安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。
■トークセッション(オンライン)
12月6日(土)19:30より配信予定
YouTubeにて、配信いたします。
チャンネル名:IG Photo Gallery
*これまでのトークセッションの録画もあります。
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