片柳拓子展「possession」

　片柳は金村修ワークショップ、タカザワケンジゼミ（カロタイプ）などのワークショップで写真を学び、作品制作を続けてきました。今回が初個展となります。
　作品は2019年1月から撮影を始めたもの。日々の生活の中で目にしたものから直感的につかみとった写真は、画面の明暗や構図、被写体から不穏な気配が漂っています。都市生活者が見過ごしている視覚の中に置き忘れられたかけらであり、この時代の奥底に潜んだ不安やおびえ、葛藤など心理的分析の対象となるオブジェのようにも見えます。
　展示されている作品には、コロナ禍に席巻されて以降に撮影されたものも含まれています。人と人との交流から隔絶したモノや空間は直接的にコロナの状況を明示してはいません。しかし、作品には、いま目にしているものが何なのかを考えることなく、思考停止状態で通り過ぎる日常の危うさが読み取れます。
　タイトルの「possession（ポゼッション）」は占有、憑依などの意味を持ちます。作者が都市の片隅に発見した奇妙なモノやかたちは、単にその場所を占有しているだけの無害なものなのか、それともモノに憑依した危険な何かなのか。新人作家が見出したもう一つの都市の姿をぜひご覧ください。

■作家プロフィール
片柳拓子（かたやなぎ・たくこ）
　文化女子大学（現：文化学園大学）造形学部 生活造形学科 工芸コース 金工専攻卒。金村修ワークショップ、タカザワケンジゼミ（カロタイプ）受講。ZINEに『Sensation Potential』（2020）ほか。

■会期
2021年4月6日（火）～4月24日（土）
時間：12:00～20:00
休廊：日曜日・月曜日・祝日

■トークセッション(無観客）
4月10日（土）18:00～
片柳拓子×タカザワケンジ（写真評論家、IG Photo Galleryディレクター）
You Tubeにて、配信中。
チャンネル名：IG Photo Gallery