IG Photo Gallery 企画展
井上雄輔展「NO PARKING」
井上雄輔展クロージング・トークセッション
金村修×小松浩子×井上雄輔
井上雄輔展は6月4日(火)まで延長いたします。
最終日19時30分から、
プロジェクターによる新たな展示の実験が行われます。
その後、金村修、小松浩子両氏を交えて、トークセッションを行います。
入場無料、先着約20名(立ち見になるときもありますので、ご了承ください。)
井上雄輔は昨年9月に、写真集『Containers in Tokyo』(Case Publishing)を刊行し、本格的な作家デビューを飾った新進写真家です。『Containers in Tokyo』では走行中のコンテナ車を側面から撮影し、スタティックに表現した作品が話題を呼びました。書き割りのように立体感を失った背景の前に、牽引するクルマをフレームアウトし、静止しているコンテナのみを写したその作品は、瞬間を切り取るという写真の特徴を最大限に生かしたものでした。
今回、展示される「NO PARKING」は井上が発表する2つめのシリーズとなります。展示会場には9つの液晶モニターが用意され、3,000枚以上の写真がスライドショーの形式で上映されます。スライド画像には動画が含まれ、写真と動画との差違を鑑賞者に問いかけます。また、それらのイメージはすべて、路上にある見慣れたものが共通していますが、どのような意味を持つのかを考えるのも、この作品を鑑賞する楽しみとなるでしょう。
井上はどちらのシリーズでも、共通する主題を中心にイメージを捕獲するという方法で作品を構築してきました。同じルールで同一カテゴリーの被写体を撮影し、比較対照するという手法は、ドイツのベルント&ヒラ・ベッヒャーらが採用したタイポロジー(類型学)と関連付けることができます。しかし、井上は「NO PARKING」で、鑑賞者に写真を比較対照する暇を与えません。めまぐるしいスピードで切り替わっていく画面は、細部をじっくりと検討するという、伝統的な写真の見方を回避しているかのようです。そこから、スマホやタブレットで写真を見ることに慣れた、私たちの視覚の現状へのアイロニーを読み取ることもできるでしょう。
現代の視覚表現について、新たなアプローチを続ける新進写真家の作品にご期待ください。
なお、5月7日(火)には井上雄輔とタカザワケンジ(写真評論家、IG Photo Galleryディレクター)によるトークショー(入場無料)が行われます。