IG Photo Gallery |建石芳子展「MEMENTO MORI」  


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2024/10/8~26
IG Photo Gallery企画展

建石芳子展「MEMENTO MORI」

 IG Photo Galleryでは、2024年10月8日(火)から建石芳子展「MEMENTO MORI」を開催いたします。建石芳子は今春、京都芸術大学通信課程写真コースを卒業したばかりの新進作家であり、今回が初めての個展となります。
 建石の作品は、年老いた人物の手や、死んでいるように見える小動物、枯れた植物など、生と死の境界にある被写体を写しています。プリントには古典技法の鶏卵紙(アルビューメン・プリント)を用いています。
 タイトルの「MEMENTO MORI(メメント・モリ)」は、ラテン語で「死を忘れるな」という意味です。すべての生き物はやがて死ぬ。その運命は避けられません。建石は見る者に死を思い起こさせるために写真という媒体を選びました。
 写真は一度きりの瞬間を留める道具であり、撮影時は「現在」であったものが、イメージになった時点ですでに「過去」となります。そこに写っているのは死んだ時間です。写真はその本質に死を内包しているのです。  展示作品の中には、植物が種を遺して果てていく様子を収めた3枚の写真が含まれています。その発想の根底には仏教絵画の九相図があります。建石はこの作品に自身が培ってきた日本の文化と重ねているのです。
 建石はステートメントでこう述べています。
「朽ち果てるまでの時間、月日の中、ふと光を放つ瞬間があり、それは日本人が大切にしてきた侘びさびにも捉えられ、美しい瞬間でもあります。本作品は、花や生物の死を時の流れを受け入れる私たち人間と、そして自分自身とを重ね合わせて制作しました」
 プリントに使用した鶏卵紙は19世紀に芸術写真家たちの間で人気を博した古典的な技法です。建石は自身で厚手の紙に卵白液を塗布して下地を作り、硝酸銀を調合した感光液を染みこませてプリントしています。手の感触やぬくもりを感じられるのはそのためです。
 これらの作品は、写真が持つ複製技術としての側面だけでなく、その一点のみが持つ固有性を印象付けています。同時に、生と死の境界に立った写真家が、被写体を死の世界へ送り出すための依り代として写真を使用するという、呪術的な意味さえ感じさせます。
 日本文化の特徴である無常観を基に、生と死を見つめた建石の作品は、生者を中心に設計されたこの社会で、「死」について考える入口となることでしょう。ぜひ、展覧会場で作品をご覧ください。

タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)

** 安心してご覧いただくため、空気清浄機、手指の消毒薬の設置などの感染対策を行います。

■作家プロフィール
建石芳子 Tateishi Yoshiko
大阪府生まれ。2024年、京都芸術大学通信教育部美術科写真コース卒業。大阪市在住。

■会期
2024年10月8日(火)~26日(土)
時間:11:00~18:30
休廊:日曜日・月曜日・祝日

■トークセッション(録画配信)
10/12(土)18:00より録画配信予定
建石芳子××タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)
You Tubeにて、配信します。
チャンネル名:IG Photo Gallery
*これまでのトークセッションの録画もございます。チャンネル登録をお願いします。

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