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2021/10/12~30
IG Photo Gallery企画展

野村美和展「文明標本」



  IG Photo Galleryでは2021年10月12日(火)より野村美和展「文明標本」を開催いたします。
 近年、写真をどのように展示するか? が写真展の楽しみの一つになっています。野村美和展「文明標本」は、標本観察に使うプレパラートにフィルムを貼り、ライトボックスに設置した作品です。観客はルーペでそれらを「観察」することになります。

 写真は現実を正確に描写し記録するだけでなく、そのリアリティを逆手にとって非現実的な世界を表現することにも長けています。
 野村美和の「文明標本」は、鉱物の写真と都市社会を撮影した写真を重ねることで、実際にはありえない、しかし、ありえるかもしれないと思わせる世界を展開しています。
 地球誕生の頃から時間をかけてつくられ、その後もほとんど変化することのない鉱物と、猛スピードで移り変わっていく都市はまるで正反対の存在です。しかし、都市に建つ建築物の多くは鉱物を利用しており、鉱物は都市が無意識の望む永続性を象徴する存在だとも言えるでしょう。
 野村はかねてより鉱物に関心を持ち、自身で収集するだけでなく、ロジェ・カイヨワの『石が書く』にインスパイアされ、鉱物を表現の題材として意識してきました。また、絵画の実践から、マックス・エルンストのデカルコマニーや抽象表現と鉱物との関連性を探ってきました。そのうえで、写真という具体的な描写に長けたメディウムを利用することで、野村は鉱物の持つ抽象性を前面に押し出す作品を制作することになります。「文明標本」はその最初の完成形です。
 鉱物と都市が二重写しになったイメージは、長大な時間に閉じ込められた都市を連想させます。変化のない時間の中に捉えられた都市は、はるか昔に滅んだ世界のようでもあり、未来から現在を眺めているようでもあります。また、写真がそもそも銀という鉱物によってイメージを物質化できたという歴史を思い起こすこともできるでしょう。
 都市とは? 文明とは? 時間とは? そして、写真とは? ──いくつもの問いを含んだ野村の作品をぜひお楽しみください。
 なお、展覧会場では作者自身のハンドメイドによる同名写真集を販売予定です。

タカザワケンジ(写真評論家・IG Photo Galleryディレクター)

* 展示では入場者に写真集を安心して閲覧していただくため、空気清浄機、手指の消毒薬などの設置等の感染対策を行います。

■作家プロフィール
野村美和(のむら・みわ)
1982年香川県生まれ。香川県立高松工芸高校美術科を卒業後、神戸芸術工科大学でファッションデザインを学んだのち、武蔵野美術大学へ編入し油絵を専攻。布を使った制作やペインティングを経て、2014年より写真表現に取り組む。2021年、京都芸術大学通信教育部芸術学部美術科写真コース卒。「自然と人為のかたち」をテーマに、人と自然との関わりについて表現を続けている。東京在住。

■会期
2021年10月12日(火)~10月30日(土)
時間:12:00~20:00(最終日は18:00まで)
休廊:日曜日・月曜日・祝日

■トークセッション(無観客)
10月16日(土)18:00~
野村美和×タカザワケンジ(写真評論家、IG Photo Galleryディレクター)
You Tubeにて配信します。
チャンネル名:IG Photo Gallery


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